「遺言書」を作りましょう
今回のテーマは「遺言書」です。
「遺言書なんて、一部のお金持ちが作るもの」「私には関係ない」そう思っていませんか?
遺言書は、ご自身の死後、遺産を相続人にどのように分け与えるのかをご自身が指定しておく書類です。
生前にご自身が指定しているのですから、要件さえ満たしていれば、遺言書のとおり遺産を分けることになります。
すなわち、遺言書を作成していると、遺族が遺産分けで骨肉の争いを繰り広げるドラマのような事態にはなりにくくなります。
■遺言書が無いとどうなるの?
遺言書がない場合は、次の手順で進めます。
1.故人の財産を把握する
2.残高を明確にする
3.過去の贈与や利益供与を明確にする
4.1~3を考慮して、遺産の分け方を相続人で話し合う
5.話し合いがまとまれば、その話し合い内容を書面(遺産分割協議書といいます)にまとめ、その書面に相続人全員が署名・実印押印・印鑑登録証明書添付を行う
6.その他必要書類を整備して、遺産の名義変更を行う
ひとりでも署名・実印押印に応じなければ、話し合いはまとまらず、骨肉の争いへと突入してゆくことになります。
■うちの子に限って争うことなどありえない
争いに発展するケースでは、はたして事前に争いを予想できていたのでしょうか。
実は、争いに発展するケースの多くは、事前に予想されていることは少ないものです。
「うちの子に限って…」と考えていたのに、いざその時になると「こんなはずではなかった…」という言葉を聞くことが多くあります。
■遺言書は、必要です!
将来、子どもや孫が平穏に仲良く暮らすために遺言書は効果を発揮します。
私は一定の年齢になられたなら、全員が遺言書を作成しておくべきと考えています。
一定の年齢とは何歳ごろか?
それに決まりはありませんが、遅くても70歳くらいまでには作成しておきたいですね。
なぜなら、認知症になると作成することが出来ないからです。
70歳を超えると、脳卒中や認知症のリスクが高くなってきます。
できるだけ早い時期に取り掛かかりましょう。
■遺言書の種類
大別すると遺言書には自分で便せんに記載する「自筆証書遺言」と公証役場で作成する「公正証書遺言」があります。
それぞれ特徴があります。
どちらも正しく作成すれば法的な力はあります。
自分で書いたものは無効?と勘違いされている方がおられますが、そのようなことはありません。
■遺言の目的
遺言の最大の目的は、遺された家族が争いにならないようにしておくことです。
何年経っても家族仲良くお墓参りに訪れてくれるような状態が理想ですね。
ただ遺産についてのみ記載しただけの無機質な内容、あるいは節税を意識するあまり偏った内容になるよりも、遺言者の想いを含んだ内容が望ましいです。
■どこに相談すればいいの?
自筆証書遺言であっても、公正証書遺言であっても、私たちまでご相談いただければと思います。
お知り合いの弁護士、行政書士等専門家がおられるならば、その先生でももちろん構いません。
まずは相談から始めて下さい。
■筆者プロフィール
行政書士
あさひ行政書士法人 代表社員
一般社団法人ライフエンディング・ステージあさひ 代表理事
西木文明(にしき ふみあき)
全国に先駆けて、老人ホームや葬儀社、金融機関との提携をすすめ、高齢者サポート行う終活専門事務所の代表。
在宅高齢者の孤独死対策としての見守りサービス、高齢者施設入居者の為の身元引受サービスなどを24時間365日体制できめ細かく対応している。
年間100件超に及ぶ終活セミナー、金融機関職員研修講師を務める。