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相続・終活の必要性と基礎知識「後見人対策」

後見人・家族のイメージ画像

前回の「緊急医療同意」に続き、今回のテーマは後見人対策です。
 

突然ですが、かなり進んだ認知症の方とがん患者ではどちらが多いと思いますか。
平成26年10月の厚生労働省統計でがん患者数は、162.6万人に対し、重篤な認知症の方は462万人。
実にがんの3倍のリスクがあります。
認知症に対する事前準備がいかに必要かわかるデータです。
 

■認知症になると困ることって?

まずは、認知症になってしまうと、ご自身の財産について、ご自身では管理できなくなります。
ご自身の老後資金に充てるため預金の出金、定期預金の解約、株や不動産の売却をしようとしてもできません。
正しい判断ができない状態なので、ご本人に任せておくと騙されたり、使い込まれたりなど不利益を被る恐れがあるからです。
 

また、契約行為もできません。
理由は同じです。
契約行為には一定の判断能力が必要です。
認知症の方にその判断能力がない場合は契約行為もできません。
 

■では、預金の出金や契約行為は誰が行うのか?

例え家族であっても、何の手続きもなく本人を代理することができません。
 

認知症になってしまった場合は本人を代理する成年後見人の選任を家庭裁判所に申立てる必要があります。
本人に代わって預金の出金をする、あるいは契約行為を代理することが出来るのは、家庭裁判所が選んだ成年後見人だけということです。
 

■成年後見人には家族が選ばれるのか?

必ずしも家族が選ばれるという保証はありません。
一定の資産をお持ちの場合は家族ではなく、弁護士や司法書士などの専門家が選ばれることがあります。
 

■専門家が選ばれた場合の費用は?

専門家が成年後見人に選ばれた場合、報酬を支払わなければなりません。
その報酬もご本人の財産や事務作業量などを考慮して家庭裁判所が決定します。
一般的には、月に3~5万円といわれています。
 

■専門家ではなく子どもを成年後見人に選んでほしい(子どもならば費用はいらない)

認知症高齢者の財産を守るためには、子供ではなく専門家に任せたほうがより安全という見解があるようです。
 
成年後見人に選任された子供が判断能力の乏しい親の財産を使い込むという事例が多く発生したことも影響しているのでしょう。
 

■うちの子は使い込んだりしないので子を選んでほしいのですが、方法はある?

今後は子供を成年後見人に選任するようにと最高裁判所が判断を出しました。
そのためには子供の使い込みを防止する一定の方策を講じる必要があるので、現在必ず子供が選ばれるという状況にはありません。
 

いざという時、子供を成年後見人に指定してもらうには、判断能力が備わっている間に「任意後見契約」という契約を公正証書で作成しておくことが望ましいです。
 

■任意後見契約とは?

将来認知症になってしまったとき、専門家ではなく自分の子(親戚でも知人でもOK)を成年後見人に選んでほしいという意味を持つ契約です。
いわば「事前予約」です。
 
これを作成しておくと裁判所はよほどのことがない限り指定した人を成年後見人に選んでくれます。
 

■最後に

むずかしい内容でしたか?
 

万一認知症になってしますとこのような難しい手続きが必要となります。
今のうちに準備をしておきましょう。
 

次回は、老後に必要な資金についてお話しします。
 

■筆者プロフィール

西木文明の写真

行政書士
あさひ行政書士法人 代表社員
一般社団法人ライフエンディング・ステージあさひ 代表理事
西木文明(にしき ふみあき)
 

全国に先駆けて、老人ホームや葬儀社、金融機関との提携をすすめ、高齢者サポート行う終活専門事務所の代表。
在宅高齢者の孤独死対策としての見守りサービス、高齢者施設入居者の為の身元引受サービスなどを24時間365日体制できめ細かく対応している。
年間100件超に及ぶ終活セミナー、金融機関職員研修講師を務める。

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