戸籍法とは? 親の離婚で子どもの「名字」はどうなるのか

あさひ司法書士法人です。
タイトルの戸籍法とは、日本国民の身分関係を明らかにする戸籍制度を定めた法律です。
今回のブログでは戸籍法における子どもの名字についてご紹介します。
※法律では名字のことを「氏(うじ)」と表現しますが、一般的に「名字」の方が馴染みがあるので、このブログでは「名字」を使ってご紹介します。
■子どもの名字は親の離婚に影響されない
婚姻をした際に、夫婦は同じ戸籍に入ります。離婚をすると、婚姻の際に名字を変えた方がこの戸籍から抜けることになります。
離婚をすると、婚姻の際に名字を変更した方の当事者は、自動的に婚姻前の名字に戻ります(民法767条1項。離婚による復氏)が、親が離婚しても子どもの名字は変わりません。
例えば、婚姻の際に夫の名字を選択した夫婦が離婚し、妻が旧姓に戻り、この妻が親権を取得した場合であっても、子どもの名字は父親と同じままになります。子どもの名字を変更するには、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることが必要です。
■子どもと親の名字が異なることによる影響
名字が異なっていても監護養育義務などの親子の法律関係には影響ありませんが、親子が同じ戸籍に入ることができなくなってしまいます。「1つの戸籍には1つの名字」というルールがあるためですが、事実上の不便や心理的影響があることも考えられます。
その一方で、親に合わせて名字を変更することの方が子どもにとって影響が大きいという考え方もあるため、婚氏続称(離婚から3か月以内に届出をすることにより、婚姻中の名字を称することができる)を選択する人もいます。
ただ、旧姓に戻った方が婚氏続称をしてもそれだけでは子どもを同じ戸籍に入れることができません。
■子どもを同じ戸籍に入れたい場合
婚氏続称を選択し同じ苗字にも関わらず、同じ戸籍に入れられない理由として、婚氏続称は呼称上の名字を変える制度で、民法上の名字は旧姓のままであるためと説明されています。
離婚により籍を抜けた者が子どもを自分の戸籍に入れるためには、婚氏続称を選択するのではなく、子どもの名字を変更する(戸籍法107条1項。氏の変更届)手続が必要になります。
子どもの戸籍を動かすため、子どもの名字を変更するには、家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立て」を行います。家庭裁判所で名字を変更する許可を得た後、市区町村に対して入籍届を行います。
■最後に
戸籍訂正の手続きには家庭裁判所の許可が必要になるなど、進め方に注意が必要です。
あさひ司法書士法人、あさひ行政書士法人では、お客様ご本人や親族の離婚についてのご相談を受ける機会も多くあります。今回ご紹介した「子どもの名字」に関すること以外で、財産分与等で発生する不動産登記の変更等につきましてもお気軽にご相談ください。